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社員コラム

「可愛いキャラ」

設計の福崎です。

表参道に寄った際、某有名キャラクターのポップアップショップに沢山の子ども達が殺到している光景を目にしました。
そして、子どもだけではなく男性女性限らず大人も目を輝かせている。

街を歩けばグッズを見かけ、SNSを開けばタイムラインに流れてくる。
いまや「なんとなく目に入る存在」ではなく、社会現象に近いキャラクター。
ただ彼らを「可愛いから流行っている」と一言で片付けてしまうのには違和感を覚える存在です。

シンプルで丸い造形。線は少なく、情報量が削ぎ落とされているからこそ、子どもにも認識できる強さがある。
現代の視覚環境に極めて適応したデザインだと思います。
立体化やグッズ展開との相性も良く、自然と世間に浸透していきました。

しかし、あの世界の物語の中に流れている空気はとてつもなくシビア。
労働があり、報酬の差があり、理不尽な怪異が現れ、容赦なく傷つけられ、あまつさえ食べられる事すらある。
トラウマを抱え、自分を責めるシーンすらでてくる。この世界は決して優しくない。

それでも声高に絶望を叫ぶわけでもなく、淡々と日常を続けていきます。
この「ゆるい世界」と「生存の緊張感」の同居が、とてつもない。
穏やかな時間が流れていると思った次の瞬間、不穏な展開が差し込まれる。
救いのように見えた出来事が、少しの違和感を残す。
安心と緊張のあいだを行き来する微妙な揺れが、
単なる「かわいいマスコット作品」とは異なる位置へ押し上げています。

こうして考えると、彼らは現代においては単なる癒しの象徴ではなく、
不安を抱えたまま生きる私たちの縮図のようにも見えてきます。
穏やかにみえて世界は恐ろしく、怖いものはなくならない。

それでも日常は続き、笑い合う瞬間もある。そのリアリティが、
可愛らしいフォルムの中に圧縮されている。

だからこそ人は、「可愛い」と言いながら、心のどこかで無意識に「わかる」と感じてしまうのではないでしょうか。
見た目の魅力を入口にしながら、現代の感情構造そのものに触れているところにある。
そう考えると、この小さなキャラクターがここまで広がった理由も、少しだけ腑に落ちる気がします。

と、
そんな事を考えながら自分もお土産に一個ぬいぐるみを買いました。

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